この記事でわかること
- 人が亡くなった後に発生する手続きの件数と内容
- 死後事務委任契約で任せられること・任せられないこと
- 費用の目安と、選ぶ際の注意点
- 今から始めておける5つの準備
- まちさぽが状況整理にどう関わるか
こんな不安はありませんか
- 「自分が亡くなった後、子どもにどれだけの手続きを残すことになるのか心配」
- 「子どもには子どもの生活がある。手続きのために何日も有給を使わせたくない」
- 「死後事務委任契約という言葉は聞いたが、何ができて何ができないか整理できていない」
- 「費用はどのくらいかかるのか、相場がわからない」
- 「遺言書・任意後見・死後事務委任の違いがわからない」
まず結論
死後事務委任契約とは、自分が亡くなった後に発生する葬儀・行政手続き・生活まわりの整理などを、生前のうちに信頼できる第三者に依頼しておく契約です。
判断能力があるうちにしか結べない契約であること、費用は依頼する事務と契約条件により異なること、遺言書や任意後見契約とは担う役割が異なること——この3点を最初に押さえておくことが重要です。
死後に必要な手続きを、生前から整理する
人ひとりが亡くなった後、遺族が対応しなければならない事務手続きは相当な数にのぼります。
必要な手続きの数は、加入している保険・年金、住まい、契約、ご家族の状況によって異なります。町田市のおくやみ案内を使い、必要な手続きと窓口を確認しましょう。
しかも、多くの手続きには法的な期限があります。
- 死亡届:死亡の事実を知った日から7日以内(国外で死亡した場合は別の期限)
- 年金の死亡届:提出が必要な場合は原則10日以内(国民年金は14日以内)。日本年金機構にマイナンバーが収録されている場合は原則省略できます。未支給年金等は別途確認してください。
悲しみの中で、仕事を休んで、見たことのない書類を抱えて対応しなければならない——これが現実の状況です。
「子どもには、子どもの生活がある」「自分のために有給を何日も使わせたくない」という気持ちから、死後事務の整理を考える方が増えています。
死後事務委任契約とは何か
死後事務委任契約は、自分が亡くなった後に発生する事務手続きを、信頼できる第三者(専門家・身元保証法人など)に生前のうちに依頼しておく契約です。
本人の死亡後も委任事務を続ける特約を設けることは認められています。ただし、個々の契約がすべて有効になるという意味ではありません。任せる事務、届出資格、遺言との関係、費用や解除条件を専門家と確認します。
任せられること(東京弁護士会の整理より)
東京弁護士会が公開している死後事務委任の対象事務は、3つのカテゴリで14項目以上にわたります。
カテゴリ1:葬儀・供養に関すること
- 葬儀方式の指定
- 埋葬方法の指定
- 供養方法の指定
「家族葬で静かに送ってほしい」「散骨したい」といった希望を、書面の指示として残すことができます。
カテゴリ2:行政手続きに関すること
- 死亡届の提出
- 運転免許証の返還
- 健康保険証の返還
- 年金の受給資格の抹消
- 固定資産税等の支払い
手続きによって窓口・郵送・オンライン等の方法や、届出ができる人の範囲が異なります。委任契約だけですべての届出資格が得られるわけではないため、各窓口で確認が必要です。
カテゴリ3:生活まわりの整理
- 病院・介護施設への料金精算
- 賃貸住宅の契約解除と明け渡し
- 水道光熱費・電話・インターネットの解約
- SNSアカウントの削除
- パソコン・携帯電話の個人情報の抹消
- 残されたペットの環境整備
葬儀よりも、こうした「生活まわりの整理」が家族にとって最も手間のかかる作業になるケースが多く見られます。
(出典:東京弁護士会「死後事務委任」公開資料)
任せられないこと
死後事務委任契約は、すべての問題を解決するわけではありません。以下は、死後事務委任契約の範囲外です。
- 相続財産の分け方 → 遺言書の領域
- 生前の判断能力が低下した後の財産管理 → 任意後見契約・成年後見制度の領域
- 生前の入院手続きや日常の支払い代行 → 財産管理委任契約・見守り契約の領域
遺言・任意後見・死後事務委任は目的と効力が異なります。必要に応じて組み合わせ、書面や手続きの関係を専門家と確認します。
「死後事務委任契約ひとつで何でも解決する」という説明があった場合は、それぞれの契約の役割を確認することをおすすめします。
費用の目安と注意点
費用は全国一律ではありません。次の項目ごとに、契約前に書面で見積もりと精算方法を確認してください。
| 項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 契約書作成(専門家報酬) | 作成・相談の範囲と報酬 |
| 公証役場の公証人手数料 | 契約内容に応じて公証役場へ確認 |
| 預託金(葬儀費・実費・報酬を含む) | 対象事務、保管方法、実費・報酬、返還条件 |
預託金に関する注意点
過去に、身元保証団体の経営破綻により、預けた預託金が返還されなかった事例が発生しています(参考:一般社団法人 死後事務支援協会)。
預託金を預けない「遺産清算方式」を選べる事業者もあります。不自然に安いプランや、入会金・月額費用が複雑なプランは、複数の事業者を比較することを検討してください。
見積書では、専門家報酬、公証人手数料、葬儀等の実費、預託金を区別してください。
今から始めておける5つの準備
準備1:死後に発生する手続きを紙に書き出す
通帳・保険・年金・賃貸契約・サブスク・SNS・ペット。書き出すことで、子どもに残る作業の「量」が具体的になります。
準備2:「家族にしか頼めないこと」と「他人でもいいこと」を仕分ける
喪主は子どもにお願いしたい。でも、ネット銀行の解約や賃貸の明け渡しは専門家に任せたい——こうした仕分けが、死後事務委任を検討する出発点になります。
準備3:費用相場をざっくり把握する
上記の項目をもとに見積もりを取り、ご自身の予算で依頼できる事務を確認します。
準備4:子どもに「相談だけ」してみる
親が自分の死後のことを自分で考えていると知ることで、子ども側が安心するケースが多くあります。
準備5:契約書の最終確認は専門家に
契約書の有効性や具体的な条項は、弁護士・司法書士・行政書士の領域です。署名の前に、必ず専門家の確認を受けてください。
まちさぽでできること
まちさぽは、弁護士でも司法書士でもありません。法律判断や契約書作成そのものは、専門家が行います。
まちさぽができるのは、専門家に相談する前の「状況整理」です。
- 死後事務委任契約が自分の状況に必要かどうかを整理する
- 遺言・任意後見・死後事務委任のうち、何が必要かを整理する
- 信頼できる司法書士・行政書士・弁護士への橋渡し
- 死後事務委任と同時に、相続・実家の整理・施設入居などが関わる場合の全体整理
「死後事務委任という言葉を聞いたが、自分に必要かどうかわからない」という段階からでも相談できます。
注意点
死後事務委任契約の作成・法的効力の確認は、弁護士・司法書士・行政書士などの専門家にご相談ください。
預託金を伴う契約については、事業者の経営状況・契約内容を十分確認することをおすすめします。
まちさぽは、専門家への相談前の状況整理と、専門家への橋渡しを担います。
まとめ
必要な手続きは、保険・年金・住まい・契約の状況によって異なります。自治体のおくやみ案内を使って確認しましょう。
死後事務委任契約は、そのうち葬儀・行政手続き・生活まわりの整理を、生前のうちに第三者に依頼しておく契約です。
ただし、相続財産の分け方(遺言書の領域)や、生前の財産管理(任意後見の領域)は、死後事務委任契約ではカバーできません。必要な契約は本人の希望と状況によって異なるため、それぞれの役割を整理して検討します。
費用は報酬・実費・預託金を分けて見積もりを確認します。判断能力があるうちにしか結べないという制約があります。
「自分のことを自分で決めて、書面に残しておく」というプロセスが、家族への最初の備えになります。
状況整理から、まずご相談ください
初回相談で、現在の状況・必要な専門家・優先順位を一緒に整理します。LINEなら3分のチェックリストから始められます。
まちさぽへの相談について
まちさぽでは、自分の老後を整えたい高齢者本人と、親の老後に悩む家族のために、初回相談で状況整理を行っています。
「死後事務委任が自分に必要かどうかも分からない」という段階でも相談できます。まずは現在の状況を一緒に整理しましょう。
親の老後を、ひとりで抱え込まないために。
まずは現在の状況を整理するところから始めましょう。
参考資料・制度の確認先
更新日:2026年9月16日
制度の適用条件や手続きは、リンク先の最新情報と各窓口で確認してください。