この記事でわかること
- 遺言書が必要になる場面(意外と知られていないケース)
- 遺言書の種類と、どちらが親に向いているか
- 子ども世代が「言い出せない」理由と、その整理の仕方
- まちさぽでできること
こんな不安はありませんか
- 「遺言書の話をしたら、死を急かしているみたいで気まずい」
- 「きょうだいで財産の話が出ると険悪になりそうで怖い」
- 「そもそも親に遺言書が必要かどうか、判断できない」
- 「どこに相談すればいいか分からず、そのままになっている」
- 「親が認知症になったら、もう書けないと聞いた。でも何もしていない」
こうした不安を抱えたまま、時間が過ぎているご家族は少なくありません。
まず結論
遺言書は「死の準備」ではなく、親が自分の意思を家族に伝えるための書類です。
遺言書が必要かどうか・どのタイプが向いているか・どう切り出せばいいか——これらは、法律家に相談する前に、まず「状況の整理」が必要です。
整理をしないまま専門家に相談に行くと、「うちの場合は何が必要なのか」が分からないまま話が進んでしまうことがあります。
なぜ遺言書が必要になるのか
遺言書がない場合、親が亡くなると原則として「法定相続分」というルールで財産が分けられます。
ただし、このルールが家族の実態に合わないケースがあります。
- 子どもが複数いるが、親の介護をしていた子と遠方で関わっていなかった子が同じ割合になってしまう
- 再婚している親が、前婚の子・現在の配偶者・現在の子に財産を残したい場合、整理しておかないと複雑になる
- 法定相続人以外(お世話になった人、内縁の配偶者など)に財産を渡したい
- 実家の不動産を誰かひとりに任せたいが、きょうだい間で揉める可能性がある
- 相続登記義務化(2024年4月〜)によって、不動産相続が放置できなくなった
遺言書があれば、こうした場面で親の意思が法的に優先されます。
遺言書がない場合、残された家族が「話し合い」で決めるしかありません。家族間の感情が絡む話し合いは、仲の良い家族であっても難しいことがあります。
遺言書の2種類
遺言書には、大きく分けて2つの形式があります(特殊な「秘密証書遺言」を除く)。
自筆証書遺言
本文・日付・氏名を本人が手書きして押印する遺言書です。添付する財産目録はパソコンや通帳の写しなどでも作成できますが、自書でない記載のある各ページ(両面なら両面)への署名・押印が必要です。
メリット
- 費用がほとんどかからない
- いつでも、ひとりで書ける
- 内容を誰にも知られずに作成できる
デメリット
- 書き方のルールが厳しく、少しのミスで無効になることがある
- 自宅保管の場合、紛失・改ざんのリスクがある
- 亡くなった後、原則として家庭裁判所の「検認」が必要になり、手続きに時間がかかる
2020年7月から「法務局における自筆証書遺言書保管制度」が始まっています。法務局に預けることで紛失リスクがなくなり、家庭裁判所の検認も不要になります。手数料は1通3,900円です。
公正証書遺言
公証役場で、公証人(法律の専門家)が内容を確認しながら作る遺言書です。
メリット
- 形式不備で無効になることがほぼない
- 原本が公証役場で保管されるため、紛失・改ざんのリスクがない
- 亡くなった後すぐに相続手続きができる(検認不要)
- 体力が弱っていても、署名が難しい状態でも対応できる
デメリット
- 費用がかかる(財産額に応じた手数料)
- 証人が2名必要
- 内容が証人に知られる
どちらが親に向いているか
判断のポイントは3つです。
財産の規模と複雑さ: 不動産がある、相続人が複数いる、揉める可能性がある → 公正証書遺言が向いている
親の健康状態: 手書きが難しくなってきた → 公正証書遺言を早めに検討する
費用感: 費用を抑えたい、シンプルな財産構成 → 自筆証書遺言+法務局保管も選択肢
ただし、どちらが向いているかは、財産の全体像と家族の状況を確認してから判断するものです。専門家に相談する前に、まず家族で状況を整理しておくことが大切です。
「遺言書の話を切り出せない」を整理する
「親に死を連想させたくない」という遠慮は、自然な感情です。
ただ、少し視点を変えてみると、遺言書を書くことは、親が「自分の意思を家族に伝えること」でもあります。親にとって、決めておきたいことをきちんと形にする機会になります。
子どもから切り出すのが難しい場合は、こうした入り口から始めることができます。
- 「相続登記が義務化されたらしいから、少し整理しておいた方がいいかな」
- 「エンディングノートを一緒に書こうとしているんだけど、遺言書も一緒に考えた方がいいって聞いて」
- 「知り合いが遺言書がなくてきょうだいで揉めたらしくて…」
言い出し方に正解はありません。入り口を整理しておくと、話を始めやすくなります。
遺言の内容を理解し、判断できるうちに準備する
遺言書を作成するためには「遺言能力」が必要です。自分の意思で、何を誰に遺すかを判断できる状態であることが前提になります。
遺言をする時点で、その内容と結果を理解し判断する能力が必要です。認知症の診断だけで一律に作成できないとは限りませんが、判断能力が不十分になると有効な遺言を残せないおそれがあります。具体的な状態は医師・公証人・法律専門家に相談してください。
認知症は、気づいたときにはすでに一定程度進んでいることも多く、「まだ早い」と思っている間に選択肢が変わっていくことがあります。
親が元気なうちに話を始めておくことが、家族にとっての備えになります。
まちさぽでできること
まちさぽは、司法書士・行政書士などの専門家ではありません。
法律判断や遺言書の作成そのものは、専門家が行います。
まちさぽができるのは、専門家に相談する前の「状況整理」です。
- 遺言書が必要かどうか、家族の状況を整理する
- 財産の全体像(不動産・預貯金・保険)を把握するためのヒアリング
- 公正証書遺言と自筆証書遺言、どちらが向いているかの論点整理
- 相続人の関係図と、揉める可能性があるポイントの整理
- どの専門家に相談すればいいかの案内(司法書士・行政書士・税理士など)
- 親への切り出し方の整理、家族会議の進め方
「遺言書が必要かどうかも分からない」という段階からでも相談できます。
注意点
遺言書の作成・法的効力・相続における判断は、司法書士・行政書士・税理士・弁護士などの専門家にご相談ください。
まちさぽは、専門家への相談前の状況整理と、専門家への橋渡しを担います。
まとめ
親の老後を整えるとき、遺言書はあとまわしにされやすいテーマです。
しかし、認知症リスク・家族間の感情・不動産の相続登記義務化——これらの状況は、時間とともに変化します。
遺言書は「死の準備」ではなく、親が自分の意思を家族に残すための書類です。
そして、その準備は状況整理から始まります。
状況整理から、まずご相談ください
初回相談で、現在の状況・必要な専門家・優先順位を一緒に整理します。LINEなら3分のチェックリストから始められます。
まちさぽへの相談について
まちさぽでは、親の老後に悩む家族と、自分の老後を整えたい高齢者本人のために、初回相談で状況整理を行っています。
「遺言書が必要かどうかも分からない」という段階でも構いません。まずは現在の状況を一緒に整理しましょう。
親の老後を、ひとりで抱え込まないために。
まずは現在の状況を整理するところから始めましょう。
参考資料・制度の確認先
更新日:2026年9月16日
制度の適用条件や手続きは、リンク先の最新情報と各窓口で確認してください。