📢 NEWS2026.04.15 / メディア「経道」に取材掲載されました

相続の前に、家族で確認しておきたいこと|もめやすい3つの理由と、準備できる3つの対策

遺産分割事件は年間1万件以上。仲の良い家族でももめやすくなる構造と、遺言書・家族信託・生命保険の組み合わせ。

#相続準備#家族会議#家族信託

この記事でわかること


こんな不安はありませんか

  • 「うちはきょうだい仲が良いから大丈夫だと思っているが、本当にそうなのか」
  • 「遺言書を作っておいたほうがいいと聞くが、何から始めればいいかわからない」
  • 「親が認知症になってから動こうとしたら、財産を動かせないと言われた」
  • 「介護をしてきた自分と、離れて暮らすきょうだいで、相続の話になると意見が割れる」
  • 「家族信託や配偶者居住権という言葉を聞くが、どう整理すればいいか」

まず結論

CONCLUSION

相続トラブルは、資産家や仲の悪い家族に限った話ではありません。

家庭裁判所に持ち込まれる遺産分割事件は年間1万件以上を推移しており、そのうち約75%が遺産額5,000万円以下の家庭です。

(出典:最高裁判所「司法統計(家事事件編)」2022年版)

むしろ、「うちは大丈夫」と思っている家族ほど、準備が後回しになりやすい。

この記事では、トラブルが起きやすい構造を整理したうえで、今から準備できる手段と、家族会議の始め方をご紹介します。


なぜ相続でもめやすくなるのか

トラブルの原因は、大きく3つの構造に整理できます。


構造1:資産が「分けにくい形」になっている

資産の大半が「自宅不動産」で、預貯金が少ないケース。

不動産は物理的に分割できないため、「家を売らないと均等に分けられない」という状況になります。そこで売りたい人と売りたくない人の対立が生まれます。

親が自宅に住み続けていた場合、感情的にも複雑になりやすい場面です。


構造2:配偶者(義理の家族)が意見に加わる

核家族化が進み、きょうだいそれぞれの配偶者が話し合いに関わることで、当事者間では折り合えていた話がこじれることがあります。

「もらえるものはもらっておかないと」という意識が家族の外から持ち込まれるケースです。


構造3:「見えない貢献」が評価されない

「長年介護をしてきた」「実家のリフォーム費用を立て替えた」「仕事を減らして親のそばにいた」。

こうした貢献は、法定相続分(法律が定める分け方の割合)に自動で反映されません。当事者には「自分の苦労が数字に出ない」という感覚が残ります。

法的な平等と、感情的な公平は、必ずしも一致しないのです。


「平等に半分ずつ」が最善とは限らない理由

よくある誤解として、「法定相続分どおりに分ければ誰も文句はないはず」というものがあります。

たとえば、長男が10年間介護をして、次男は離れて暮らしていたとします。親が亡くなり、法定通り50:50で分けた場合、長男の側に「自分の苦労は考慮されないのか」という感覚が残ることがあります。

逆に、長男に多めに渡そうとすれば、次男が「法律上の権利がある」と主張します。

数字上の平等を追求すると、感情的な不公平感が残りやすい。目指すべきは「機械的な均等」ではなく「関わった全員が納得できる配分」であることが多いです。

これが、相続の話し合いが難しい理由のひとつです。


事前に準備できる3つの手段

感情的な対立は、法的な準備でその「物理的な原因」を減らすことができます。


手段1:遺言書(公正証書遺言)

遺言書は、相続の配分と「なぜそう決めたか」を記録する書類です。

自筆で書く「自筆証書遺言」は、形式に不備があると無効になるリスクがあります。また、発見者が隠したり、「認知症の状態で書かされた」という疑念を生む可能性もあります。

公証人が作成に関わる「公正証書遺言」は、原本が公証役場に保管され、法的な有効性が高まります。

ひとつ注意が必要なのは「遺留分」です。特定の人に全財産を譲る内容の遺言は、他の相続人が「遺留分侵害額請求」を行う根拠になります。

遺言書に「なぜこの配分にしたか」という気持ちを添えておくことで、トラブルを減らしやすくなります。


手段2:家族信託

遺言書は「亡くなった後」に効力を発揮しますが、「認知症になってから亡くなるまでの間」には対応できません。

家族信託は、親が元気なうちに財産の「管理権」を家族に移しておく仕組みです。

親(委託者)の財産を、信頼できる子(受託者)に託し、管理・運用します。親が認知症になった後でも、子が代わりに不動産を売却したり、預金を引き出すことができます。

また、「自分が亡くなったら配偶者へ、配偶者が亡くなったら長男へ」というように、数世代先の承継先まで指定できます(遺言書では対応できない部分です)。

ただし、設計が複雑であるため、司法書士や弁護士のサポートが必要です。また、親がすでに認知症で判断能力がない状態では、家族信託契約を結ぶことができません。元気なうちに検討することが前提になります。


手段3:生命保険

「分けにくい不動産」を「分けやすい現金」で補完する手段として、生命保険が使われることがあります。

たとえば、長男が実家を相続する代わりに、次男に現金を渡す「代償分割」という方法があります。その現金の原資として死亡保険金を活用します。

死亡保険金は原則として遺産分割協議の対象外であり、受取人に指定された人に確実に届きます。

また、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。

(出典:国税庁「令和3年度相続税の申告事績について」)


知っておくと役立つ2つの法改正

相続に関する法律は近年改正されています。知っておくと選択肢が広がります。


配偶者居住権(2020年施行)

「夫が亡くなり、妻が自宅に住み続けたいが、家の評価額が高くて他の財産がほとんど受け取れない」という状況に対応した制度です。

自宅の権利を「住む権利(配偶者居住権)」と「所有する権利(負担付所有権)」に分けることで、配偶者が自宅を失わずに済む可能性が高まります。

設定には条件があります。相続開始時に配偶者がその建物に居住していたこと、遺産分割協議・遺言・家庭裁判所の審判によって取得することが必要です。詳細は専門家への確認が必要です。


特別寄与料(2019年施行)

これまでは、長男の配偶者(嫁)がどれだけ義父母の介護をしても、相続権がないため財産を受け取れませんでした。

2019年の改正で、相続人以外の親族でも、被相続人の療養看護に特別の寄与をした場合、相続人に対して金銭を請求できるようになりました。

ただし、請求には介護記録・領収書・やり取りの記録などの「証拠」が必要です。介護に関わっている方は、日頃から記録を残しておくことが重要です。


家族会議を始めるときに整理しておくこと

法的な準備が整っていても、伝え方を間違えると話し合いがこじれます。


避けたほうがいい場面と進め方

正月・お盆のタイミングで突然切り出すのは、うまくいかないことが多いです。楽しい席での金銭の話は、感情的な反応を引き起こしやすい。

また、親が一方的に「こうする」と決定事項を通達すると、子どもは「意見を聞いてもらえなかった」という感覚を持ちやすくなります。

配偶者(義理の家族)を最初から同席させると、利害関係が複雑になります。まず血族だけで話す機会を持つほうが、話し合いが進みやすいことがあります。


話し合いの目的を「説得」にしない

家族会議の目的は、誰かを説得することではなく、状況を「共有」し「確認」することです。

親側が「将来に少し不安がある。みんなに迷惑をかけないために、今のうちに一緒に確認したい」という姿勢で始めると、子どもが意見を出しやすくなります。

財産の状況を包み隠さず共有することも大切です。「何か隠しているのでは」という疑念が、後の対立の種になることがあります。

「この財産をこう使ってほしい」「なぜそう考えているか」というストーリーを伝えることで、数字だけの話では伝わらない気持ちが届くことがあります。


実際の整理例

よく相談に来る場面のひとつとして、こういったケースがあります。

父が亡くなり、相続人は長女(同居で介護をしてきた)と長男(別の地域に在住)。遺産は自宅不動産と預金。

長男は「法定通り、自宅を売って均等に分けよう」と言い、長女は「思い出のある家は売りたくない。10年間の介護も考えてほしい」と言う。

この場合、まず長女が関わってきた寄与分(介護への貢献)を記録に基づいて整理し、どのくらいの金額感になるかを弁護士を交えて確認します。そのうえで、長女が不動産を引き取り、長男には預金を中心に渡す形での代償分割を検討する。差額は保険金や自己資金で調整する、という進め方があります。

こうした整理は、どちらかを勝たせることが目的ではなく、全員が「これで合意できる」という着地点を見つけることです。


まちさぽでできること

まちさぽは、弁護士・司法書士・税理士ではありません。法律判断や税務判断を行う機関ではありません。

ただし、相続準備の話し合いを始めようとしている家族に対して、以下の整理をサポートできます。

「何から手をつければいいかわからない」という段階で相談に来る方が多く、その状況整理から一緒に始めることができます。


注意点

⚠ 注意遺言書の作成、家族信託の設計、遺留分・特別寄与料の請求、配偶者居住権の設定には、司法書士・弁護士・税理士などの専門家の確認が必要です。

まちさぽは専門的な法律判断・税務判断・不動産媒介を行う機関ではありません。専門家と連携しながら、整理・橋渡しを担います。


まとめ

相続でもめやすくなる構造は3つです。

  1. 資産が「分けにくい形」になっている
  2. 配偶者(義理の家族)が話し合いに加わることで複雑になる
  3. 介護など「見えない貢献」が法定相続分に反映されない

事前に準備できる手段は、遺言書・家族信託・生命保険の組み合わせです。それぞれ役割が異なるため、家族の状況に合わせて選ぶことが大切です。

そして、どんな準備も「親が元気なうちに動く」ことが前提になります。認知症が進行してからでは、使えなくなる手段があります。


状況整理から、まずご相談ください

初回相談で、現在の状況・必要な専門家・優先順位を一緒に整理します。LINEなら3分のチェックリストから始められます。

まちさぽへの相談について

相続準備について、「何から始めればいいかわからない」「どの専門家に相談すればいいか整理したい」という段階でも、まちさぽは相談を受け付けています。

初回相談では、親の状況・家族の関係・今整理すべきことを一緒に確認します。


親の老後を、ひとりで抱え込まないために。

まずは現在の状況を整理するところから始めましょう。

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死亡保険金の「500万円×法定相続人の数」という非課税限度額は、相続人が受け取る場合の制度です。相続人以外の受取人には適用されません。保険料を誰が負担したかによって税の種類も異なるため、契約内容を確認してください。

参考資料・制度の確認先

更新日:2026年9月16日

制度の適用条件や手続きは、リンク先の最新情報と各窓口で確認してください。

庄司 有毅
この記事を書いた人
庄司 有毅しょうじ ゆうき
一般社団法人町田市地域支援協会 代表理事
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