この記事でわかること
- 老人ホームの種類を「公的」と「民間」の2択で整理する方法
- 特養・老健・介護医療院・有料老人ホーム・サ高住など各施設の特徴と費用の目安
- 資金計画の基本的な考え方
- 施設選びを進める3つのステップ
- 施設探しでよくある疑問への回答
こんな不安はありませんか
- 「老人ホームの種類が多すぎて、どれが親に合っているのかわからない」
- 「特養、老健、サ高住、有料老人ホーム……それぞれの違いが整理できていない」
- 「費用の目安は分かっても、実際にどのくらいかかるのか全体が見えない」
- 「特養は待機者が多いと聞いているが、どう動けばいいか」
- 「施設に入ってもらいたいが、親が嫌がっていてどう話せばいいか分からない」
まず結論
老人ホームの種類を一度に全部理解しようとすると、どれが何なのかわからなくなります。
最初のステップは、施設を「公的施設」と「民間施設」の2つに分けることです。
この2択を起点にすると、費用・入居のしやすさ・サービス内容の違いが整理しやすくなります。
施設の種類を把握したうえで、親の状態・予算・希望の優先順位を確認する。それが施設選びの基本的な流れです。
なぜ施設選びが難しく感じるのか
老人ホームの情報を調べると、10種類近い施設名が並び、それぞれに費用・対象・条件が異なります。
複数の窓口(地域包括支援センター・施設紹介会社・ケアマネジャー)から異なる情報が来ることも多く、どこから手をつければいいかわからない状態になりやすい。
まずは全体を「公的施設」と「民間施設」の2つで整理してから、それぞれの詳細に入ることをおすすめします。
「公的施設」と「民間施設」の基本的な違い
| 比較項目 | 公的施設 | 民間施設 |
|---|---|---|
| 費用 | 比較的安い(月額5万〜15万円が中心) | 幅が広い(月額10万〜30万円以上) |
| 入居しやすさ | 入居待ちが発生しやすい | 比較的入りやすい |
| 対象 | 要介護度や医療依存度が高い方が優先される | 自立〜要介護まで幅広い |
| 入居一時金 | 原則0円 | 0円〜数千万円まで(施設によって異なる) |
費用を抑えたい場合は、公的施設が第一候補になります。ただし、重度の方や緊急性の高い方が優先されるため、「入りたいときにすぐ入れない」ことが多いのが実態です。
そのため、多くの家族が「公的施設への申し込みをしておきながら、すぐに入れる民間施設も並行して検討する」という進め方をしています。
公的施設の3種類
特別養護老人ホーム(特養)
「看取りまで対応できる、長期入居型の公的施設」です。
対象: 原則「要介護3以上」の方(特例で要介護1・2でも入居できる場合があります)
費用の目安: 月額5万〜15万円程度(所得・資産に応じた負担軽減制度あり)。入居一時金は原則0円。
ポイントと注意点:
費用が安く、看取りまで対応するため人気が高く、入居待ちが数十人から数百人規模になる施設も珍しくありません。申し込みから入居まで数か月〜数年かかることもあります。
「いつか特養に入れたい」と考えているなら、早めに見学・申し込みをしておくことが重要です。
介護老人保健施設(老健)
「病院から在宅復帰を目指す、リハビリ特化型の施設」です。
対象: 要介護1以上の方
費用の目安: 月額8万〜15万円程度。入居一時金は原則0円。
ポイントと注意点:
医師・理学療法士などリハビリ専門職が配置されており、退院後すぐには自宅生活が難しい方が、機能回復を目指して入所します。
最大の注意点は「長期入居を前提とした施設ではない」ことです。在宅復帰を目的としているため、原則として3〜6か月ごとに退所判定が行われます。次の行き先(自宅・特養・民間施設)を考えながら利用する必要があります。
介護医療院
「長期的な医療ケアと介護が両方必要な方のための施設」です。
対象: 要介護1以上で、日常的な医療処置が必要な方
費用の目安: 月額10万〜15万円程度。入居一時金は0円。
ポイントと注意点:
喀痰吸引・経管栄養など、特養では受け入れが難しい医療依存度の高い方を受け入れます。旧「介護療養型医療施設」からの移行が進んでいます。
民間施設の4種類
介護付き有料老人ホーム
「介護スタッフが24時間体制でサポートする施設」です。
対象: 自立〜要介護5まで(施設によって受け入れ条件が異なります)
費用の目安:
- 入居一時金:0円〜数千万円(施設のグレードによって異なる)
- 月額費用:15万〜30万円程度
ポイントと注意点:
介護付き有料老人ホームでは、指定された介護サービスを施設等が提供します。介護保険サービス費は要介護度ごとに定められ、自己負担は負担割合・地域・加算等でも変わります。家賃・食費・管理費などは別に確認し、要介護度が変わった場合の見積もりも取りましょう。
看取りに対応する施設も増えており、「仕事や生活があって頻繁に通えない」という家族に選ばれやすい形態です。
住宅型有料老人ホーム
「生活サポートを受けながら、介護は外部サービスで組み合わせる施設」です。
対象: 自立〜軽度の介護が必要な方
費用の目安:
- 入居一時金:0円〜数千万円
- 月額費用:10万〜25万円程度
ポイントと注意点:
見守り・食事・緊急時対応などの生活サポートが提供されます。介護が必要になった場合は、外部の訪問介護やデイサービスと個別に契約します。
介護度が低い方や「必要なサービスだけを選びたい」という方に向いています。ただし、要介護度が上がると外部サービスの費用が積み重なり、介護付き有料老人ホームより月額費用が高くなる場合があります。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
「安否確認と生活相談がついた、バリアフリーの賃貸住宅」です。
対象: 自立〜軽度の介護が必要な方
費用の目安:
- 初期費用(敷金など):数万〜数十万円
- 月額費用:10万〜25万円程度
ポイントと注意点:
あくまで「住宅(賃貸契約)」なので、外出・外泊・面会の自由度が高く、元気なうちに自分らしい生活を続けたい方に向いています。
介護が必要になれば外部サービスを利用しますが、認知症が進行して常時見守りが必要な状態になると、退去を求められるケースがあります。将来の認知症リスクが高い場合は、住み替えを前提とした入居計画が必要です。
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
「認知症の方が少人数(1ユニット最大9名)で共同生活を送る施設」です。
対象: 要支援2以上で認知症の診断を受けている方。かつ、施設と同じ市区町村に住民票がある方。
費用の目安:
- 初期費用(保証金など):0円〜数十万円
- 月額費用:15万〜20万円程度
ポイントと注意点:
認知症ケアの専門スタッフが配置され、入居者が料理の簡単な手伝いなど役割を持ちながら共同生活を送ります。
地域密着型サービスのため、住民票がある自治体の施設しか利用できない点に注意が必要です。
施設費用の考え方
「親の収入・資産の範囲内で」が基本
施設選びでよく起きるのが、「親に良いところに入ってほしい」という気持ちから、子ども世代が自分の家計から費用を補填してしまうケースです。
施設入居は、期間が見えないまま続くことがあります。補填が続くと、子ども世代自身の生活への影響が出てきます。
まず確認すべきことは以下の2点です。
- 親の月々の収入(年金など)はいくらか
- 親の貯金・売却できる不動産はどのくらいあるか
この2つから「月額の上限」と「入居一時金の上限」を設定することが、施設選びの出発点になります。
月額費用以外にかかる費用を忘れない
施設に支払う月額利用料(家賃・管理費・食費・介護保険自己負担分)に加えて、個人的な出費も毎月発生します。
主なもの:医療費(通院・薬代)、おむつなどの日用品費、理美容代、嗜好品、レクリエーション参加費など。
平均的に月額2〜4万円程度を見込んでおくと現実的です。パンフレットの月額表示だけで計算すると、実際の費用と大きくずれることがあります。
施設選びの3ステップ
ステップ1:親の身体状況を把握する
インスリン注射・胃ろう・たん吸引など、日常的に必要な医療処置があるかどうか。認知症の症状(徘徊・暴言など)はあるかどうか。
これらによって、受け入れ可能な施設が自動的に絞られます(看護師の24時間配置が必要かどうか、など)。
ステップ2:予算の上限を決め、候補を絞る
設定した予算の範囲内で、希望エリアの施設をピックアップし、資料を取り寄せます。この段階では月額費用だけでなく、月額以外の個人費用も考慮した「実際の月額総額」を確認します。
ステップ3:優先順位を決め、必ず見学に行く
「家から通いやすい距離」「食事の質」「レクリエーションの内容」「医療との連携」など、本人と家族の希望に優先順位をつけます。
候補を2〜3か所に絞ったら、必ず実際に見学してください。施設の雰囲気・スタッフの様子・入居者の表情は、資料やインターネットだけでは確認できません。
よくある質問
Q. 特養は何年も待つと聞きましたが、本当ですか?
地域や施設によって大きく異なりますが、待機者が多いのは事実です。待機順位は「申し込み順」ではなく、要介護度の重さ・独居かどうか・介護者の状況などを点数化して緊急性の高い方が優先されます。まずは申し込みをしておくことが重要です。
Q. 有料老人ホームの「入居一時金」とは何ですか?返ってきますか?
入居一時金は「家賃の前払い」のような性質のものです。まとまった初期費用を支払う代わりに、月額の利用料が低く設定されます。入居後すぐに退去したり亡くなった場合には、未償却分(住まなかった期間分)が返還される仕組みになっています(ただし、施設によって初期償却のルールが異なります。契約時に確認が必要です)。
Q. 月額費用以外に毎月いくらくらいかかりますか?
医療費・おむつなどの日用品費・理美容代・嗜好品・レクリエーション費などで、平均して月額2〜4万円程度が別途かかると見込んでおくと現実的です。
Q. 認知症が進んでも「サ高住」や「住宅型」に住み続けられますか?
施設の方針によりますが、徘徊で他の入居者への影響が出たり、常時見守りが必要になると、退去を求められるリスクがあります。将来の認知症進行が不安な場合は、重度化しても対応できる「介護付き有料老人ホーム」や「グループホーム」を最初から検討するほうが、後の住み替え負担を減らしやすくなります。
まちさぽでできること
まちさぽは、施設紹介のみを行う会社ではありません。
施設選びに関連して、以下のような整理をサポートできます。
- 親の状態・家族の状況・予算から、検討すべき施設の種類を整理する
- 施設入居費用と実家の売却・相続をどう組み合わせるかを整理する
- 施設紹介会社・ケアマネジャー・地域包括支援センターへの橋渡し
- 施設入居に伴う身元保証・死後事務・実家の整理など、周辺課題の整理
- 施設見学後の比較整理・家族間の意見調整サポート
「施設を探し始めたいが、何から手をつければいいかわからない」という段階でも相談できます。
注意点
施設入居に関する医療・介護の判断は、医師・ケアマネジャー・地域包括支援センターなど専門家への確認が必要です。
まちさぽは施設入居に関する医療・介護の専門判断を行う機関ではありません。状況整理と必要な専門家・施設への橋渡しを担います。
まとめ
施設選びは、まず「公的施設か民間施設か」という2択で全体を整理することから始まります。
公的施設は費用が安い一方で入居待ちが発生しやすく、民間施設は比較的入りやすい一方で費用の幅が広い。この特性を理解したうえで、親の状態・予算・希望に合わせて候補を絞っていきます。
選び方の基本は3ステップ。親の身体状況を確認する、予算の上限を設定する、そして必ず見学する。
施設費用は「親の収入と資産の範囲内」で考えることが、長期的な家族の安定につながります。
状況整理から、まずご相談ください
初回相談で、現在の状況・必要な専門家・優先順位を一緒に整理します。LINEなら3分のチェックリストから始められます。
まちさぽへの相談について
施設探しについて、「何から始めればいいかわからない」「施設以外の問題も同時に動き出して整理できない」という段階でも、まちさぽは相談を受け付けています。
初回相談では、親の状況・家族の不安・今確認すべきことを一緒に整理します。
親の老後を、ひとりで抱え込まないために。
まずは現在の状況を整理するところから始めましょう。
参考資料・制度の確認先
更新日:2026年9月16日
制度の適用条件や手続きは、リンク先の最新情報と各窓口で確認してください。