この記事でわかること
- 介護保険制度の基本的な仕組み
- 申請から利用開始までの流れ
- 認定調査で実態が伝わりにくくなる3つの場面
- 認定調査の前に準備しておけること
- まちさぽが介護保険の相談にどう関わるか
こんな不安はありませんか
- 「親に介護保険を申請しようと思っているが、何から始めればいいかわからない」
- 「申請したのに、想定より認定が軽く出てしまったという話を聞いた」
- 「認定調査のときに、親が『大丈夫』と言い張って実態を話さないのではないかと心配」
- 「要支援と要介護で使えるサービスがどう違うのかわからない」
- 「認定結果に納得できなかった場合、どうすればいいか知りたい」
まず結論
介護保険は、申請すれば自動的に「必要なサービスが使える状態」になるわけではありません。
認定調査の結果によって、使えるサービスの量と種類が変わります。そして、その認定は「調査当日に本人が何を伝えたか」に大きく左右されます。
申請前に流れを把握して、認定調査に向けた準備をしておくことが、結果に直結します。
介護保険制度の基本
介護保険は、40歳になると自動的に加入する社会保険です。毎月の保険料を支払うことで、介護が必要になったとき、費用の1割から3割の自己負担でサービスを受けられる仕組みです。
65歳以上が「第1号被保険者」、40〜64歳が「第2号被保険者」となります。第2号被保険者は、特定の16疾病(がん・関節リウマチ・認知症など)が原因の場合に限り対象となります。
厚生労働省のデータによると、2025年度の要介護認定者は約723万人です。介護保険制度がスタートした2000年から約25年で、約2.8倍に増えています。
(出典:厚生労働省「介護保険事業状況報告(暫定)」)
親が60代後半を過ぎると、「そろそろ介護保険を考える時期が来るかもしれない」という局面が近づいてきます。
申請から利用開始まで、流れを把握しておく
大まかな流れは5つのステップです。
- 市区町村の窓口または地域包括支援センターで申請する
- 認定調査員が自宅を訪問し、74項目の基本調査に沿った聞き取りと動作確認を行う
- コンピュータによる一次判定 → 介護認定審査会による二次判定
- 申請から原則30日以内に「要支援1・2」または「要介護1〜5」の認定が通知される
- ケアマネジャー(要支援の場合は地域包括支援センター)がケアプランを作成し、サービス開始
(出典:厚生労働省「介護サービス情報公表システム」)
多くのご家族がつまずくのが、4番目の「認定結果」の段階です。
「申請が通った=思い通りのサービスが使える」ではありません。認定の区分によって、使えるサービスの量と種類が大きく変わります。
認定調査で実態が伝わりにくくなる3つの場面
ここが、この記事でいちばん伝えたい部分です。
場面1:本人が「できる」と見せてしまう
認定調査でよく起きるのが、親のプライドが壁になるケースです。
「子どもの前で弱いところを見せたくない」 「調査員に大げさなことを言うのは気が引ける」
こうした気持ちから、普段できていないことも「大丈夫です、自分でできます」と答えてしまうことがあります。
認定調査では、調査当日だけでなく普段の状態を具体的に伝えます。できること・難しいこと、介助の内容と頻度を記録しましょう。調査項目によって評価の期間や方法が異なるため、良い日・悪い日を含めた経過を説明することが大切です。
場面2:調査当日が「状態の良い日」に当たってしまう
認定調査は、1回の訪問で判断されます。日々の状態には波があるため、たまたま体調の良い日に重なって、普段より動けてしまうことがあります。
これは、準備で補える部分があります。
日頃の様子を記録したメモを調査員に見せることが有効です。「普段はこれができません」「夜中に2〜3回起きています」「薬を飲み忘れることが増えました」といった事実を書面で伝えることで、実態をより正確に把握してもらいやすくなります。
場面3:認定結果に地域差がある
制度上は「全国一律に客観的な基準で判定する」とされています。しかし、都道府県別のデータを見ると、要介護認定率に地域差があることが複数の調査で指摘されています。
この背景には、調査員の判断の個人差、自治体ごとの審査傾向、財政状況など、複数の要因があると言われています。
「どうして実態と結果が合わないのか」と感じたとき、制度上のこうした構造があることを知っておくと、次の行動(区分変更申請)につながりやすくなります。
認定調査の前に準備できる3つのこと
準備1:親の「できないこと」を書き出しておく
認定調査の前に、日常生活で困っていることをメモしておきます。
具体的な事実が役立ちます。
- 夜中に2〜3回トイレに起きている
- 一人での入浴に時間がかかる、危なっかしい場面がある
- 薬を飲み忘れることが増えた
- 食事の準備が難しくなってきた
- 外出のたびに迷子になりそうになる
こうした記録を調査員に渡すことで、実態に近い認定につながりやすくなります。
準備2:調査に同席して、さりげなく補足する
家族が同席し、本人が過小申告しそうな場面でフォローできる準備をしておきます。
「本人は気を遣って言えないのですが、実際はこういう状況があります」と伝えるだけで、調査員の把握が変わることがあります。
本人を責めるのではなく、補足する、というスタンスが大切です。
準備3:結果に納得できなければ「区分変更申請」を使う
認定結果が実態と合っていないと感じたら、「区分変更申請」という制度を利用できます。医師の意見書と生活の実態記録を揃えて、再審査を求めることができます。
一度出た認定結果がすべてではありません。「思っていた結果と違う」と感じたら、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談して、次の選択肢を確認してください。
まちさぽでできること
まちさぽは、介護保険の申請手続きを代行する機関ではありません。ケアマネジャーや地域包括支援センターとは役割が異なります。
ただし、介護保険の申請を考えている段階で、こんなことを一緒に整理できます。
- 今の親の状態を整理して、介護保険の申請が必要かを確認する
- 申請後の流れを把握して、家族が何を準備すべきかを確認する
- 認定調査に向けた記録の整理をサポートする
- 地域包括支援センター・ケアマネジャー・市区町村窓口など、どこに相談すればいいかを整理する
- 介護保険以外の悩み(施設・相続・実家・身元保証)が重なっている場合、全体像を整理する
「介護保険のことだけではなく、親の老後全体を誰かに整理してほしい」という段階でも相談できます。
注意点
まちさぽは、医療・介護の専門的判断を行う機関ではありません。状況整理と必要な相談先へのつなぎを担います。
まとめ
介護保険の認定は、「申請するだけで自動的に決まる」ものではなく、調査当日に実態をどう伝えられたかに左右される部分があります。
特に、親自身が「大丈夫」と言いがちな場面、体調の波、地域差という3つの場面は、事前に知っておくことで対策がとれます。
認定調査の前に日常の記録を準備しておくこと、同席してフォローすること、結果に納得できなければ区分変更申請を活用すること、この3つが具体的な対策になります。
状況整理から、まずご相談ください
初回相談で、現在の状況・必要な専門家・優先順位を一緒に整理します。LINEなら3分のチェックリストから始められます。
まちさぽへの相談について
「介護保険の申請を考えているが、何から整理すればいいかわからない」という段階でも、まちさぽは相談を受け付けています。
初回相談では、親の状況・家族の不安・今確認すべきことを一緒に整理します。
親の老後を、ひとりで抱え込まないために。
まずは現在の状況を整理するところから始めましょう。
参考資料・制度の確認先
更新日:2026年9月16日
制度の適用条件や手続きは、リンク先の最新情報と各窓口で確認してください。